岡山製陶所について

1915年(大正4年)に創業した京焼・清水焼の窯元です。

多くの窯元が集まる京都・泉涌寺で成型から絵付け、焼成、上絵に至るまでの一貫生産をしています。

使ってくださる方の生活に馴染むような形や釉薬を探して、「日常生活を少しだけ豊かに」することを考えながらつくったうつわです。

日々の暮らしの一部に加えていただけましたら、こんなにうれしいことはありません。

 

 コンセプト

職人として、暮らしのうつわを考える。

 

暮らしに必要なうつわとはなんだろう。

私はずっとそんなことを考えて土をさわってきました。 大きいうつわ、軽いうつわ、白いうつわ、収納しやすいうつわ。

ライフスタイルの提案は、職人の役割ではないかもしれません。

でも、私のうつわを使ってくださる方の生活に馴染むような形を探して、あれこれと試してはやめ、また試す、ということを繰り返してきました。

私は多くの窯元が集まる京都・泉涌寺で、製陶業を営む家に生まれました 。どのような注文にも応じることができる父母の技術の高さは私の誇りです 。 京都の職人は皆、貪欲に修得したさまざまな技法を組み合わせ、あるいは削ぎ落として 、自分だけの作風を生み出してきました。

基礎をひと通り学んだ頃の私も、職人てしての無名性を大切にする一方で、どうしても自分にしか表現できないうつわを目指したいと思い始めました。

 
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まだ20代。技術も感性にも自信などありませんでしたが、それまでの経験からなんとかたどり着いた技法が印花でした。 印花という技法自体は、特別めずらしいものではありません。 陶印で施された素朴な文様表現は古くからおもに茶数寄の世界で好まれ、多くの名器がいまに伝えられています。 私はこの技法のなかでも色の組み合わせに注目し、やわらかな白い陶肌に黒色で押した陶印の印花文様を自分の作風 としてそれを「黒印花」と名付けました。

土にふれる瞬間や、陶印を彫る指先、金彩の加減、釉薬の扱い。 私にとってはそのどれもが難しく、いまも日々思い通りの 作業をすることだけで精一杯です。

あと一周、ろくろをまわせばどんなかたちが生まれるのだろう。 職人がそんなことを考えながらつくったうつわです。 日々の 暮らしの 一 部に加えていただけましたら 、こんなにうれしいことはありません。

 
 

 黒印花のこと

 

印花とは素地に陶印を押し、そのくぼみに化粧土を埋め込んで模様を表現する伝統技法です。朝鮮半島から渡来した李朝のうつわに施されていたこの技法は日本において「三島」「三島手」 とも呼ばれました。その由来には諸説ありますが、かつて日朝貿易の拠 点だった対馬、博多、壱岐を経てもたらされたうつわを指す名だったのではないかと考えられています。

私が黒印花のモチーフとして使う花や蝙蝠、蜻蛉、骸骨などはすべて伝統的な文様です。意匠は先人の作に学び、少しだけ自分の創意を加えてひとつずつ手仕事で彫り出します。

窯で焼き上がった陶印は、押しやすく持ちやすいものだけを選り分けて道具箱に収めます。手に馴染み、美しい文様を押すことができる陶印をつくる作業は、うつわをつくるよりも難しいことかもしれません。

陶印を押す作業はあっという間です。

ろくろで成型した素地が感想しないうちに、文様の大きさや間隔を揃えてうつわの縁から中央へ向かってひと息に押します。この陶印のかたちにくぼんだ部分に化粧土を埋めこむとやがて黒い印花文様があらわれます。

 
 
 

 製陶所

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岡山製陶所

住所:〒605-0976 京都府京都市東山区泉涌寺東林町36-15

営業時間:10:00~18:00

定休日: 不定休

Tel:090-3966-5188